森下泰輔  
Taisuke MORISHITA

借景 大極殿
光のインスタレーション
2010

Borrowed scenery Daigokuden
Light installation
LED
2010


大極殿を東洋の概念"借景"で見せる光のインスタレーション。朱雀門を借景した作品と一対になっている。
 復元された大極殿は、1300年前にまさにこの場所にあった。この歴史的建造物を「借景」することで、日本が歩んできた重層的な時間と空間に想いをはせる作品である。借景は、もともと中国庭園や日本庭園における造園技法のひとつで、庭園外の山や樹木、竹林などの自然物等を庭園内の風景に背景として取り込むことで、前景の庭園と背景となる風景とを一体化させてダイナミックな景観を形成する手法だが、今日の美術ではフレームから自由になり、環境や現実の風景そのものを取り込むインスタレーションが現れている(サイトスペシフィック・インスタレーション)。こうした現代美術作品は、風景を鑑賞したり見立てたりするような優雅なものではなく、時空を構成要素として取り込むという近代を通過した表現なのだが、森下は、それをあえて東洋の考え方である借景に還元することで、東洋人、日本人としての自らのアイデンティティを問うている。